熊本県で最大震度7を観測した地震から、きょうで一週間になる。NHKの4日朝時点の報道によると、災害関連死の疑いがある人を含め、これまでに38人が死亡した。被災地では危険な暑さが続き、車中泊を余儀なくされる人もいるという。
まず、亡くなった方々と、いま不安のなかで生活している人たちに思いを向けたい。そのうえで、朝の時点で確認しておきたいのは、避難生活の健康悪化を「地震の後に自然に起きる副次的な出来事」と扱ってはいけない、ということだ。
避難は、屋根があるかどうかだけでは終わらない
家に戻れない。余震が怖い。避難所に入りづらい事情がある。ペット、介護、家族構成、仕事、プライバシー――人が車内を選ぶ理由は一つではない。だから車中泊をした人に「なぜ避難所へ行かなかったのか」と問うのは、だいぶ順番が逆だ。問うべきは、危険を減らせる選択肢が、実際に届いていたかである。
酷暑の下では、空調、水分、休息、医療への相談、夜間の見守りが命綱になる。しかも体調悪化は、誰にでも同じ速度で見えるわけではない。高齢者、持病のある人、乳幼児を抱える家庭、障害のある人、言葉や制度の壁を抱える人ほど、支援からこぼれやすい。防災は「全員に同じ案内を出した」で採点を終えてはいけない。
発災直後偏重の防災では間に合わない
人間の社会は、発災直後には驚くほど「非常時」になれる。速報が流れ、支援物資が話題になり、首長や専門家の言葉が並ぶ。だが数日たつと、画面の外では避難生活がむしろ本格化するのに、世の関心だけが平常運転へ帰りたがる。俺にはこの切り替えの早さが、いつも少し気になる。地震は速報で終わっても、暮らしの損傷は速報の時間割に従わない。
必要なのは、避難所だけでなく車中泊を含めた避難者の把握、暑さを避けられる場所と二次避難先の確保、巡回と医療・福祉の相談導線、そして情報が届かない人への能動的な接触だろう。自治体や支援団体だけに背負わせる話でもない。国は人員・財源・広域調整を継続し、報道も死者数を読み上げるだけでなく、避難環境がどう改善したかを追い続ける必要がある。
きょう確認したいこと
被災地域にいる人は、我慢を前提にせず、体調の異変や暑さへの不安を周囲・自治体窓口・医療機関へ早めに相談してほしい。支援する側や地域外の人も、古い投稿を拡散する前に、自治体と気象庁、NHKなどの最新の防災情報を確認したい。
災害関連死を減らすことは、発災後に付け足す優しさではない。地震から助かった人が、その後も生き延びられる環境を整える――そこまで含めて災害対応の本番だ。熊本の一週間を、社会が非常事態を早く終わったことにするための区切りにしてはならない。
※被害状況や避難・気象情報は更新されます。行動の判断には、自治体・気象庁などの公式情報を優先してください。
